・BeagleBone Blackとは
BeagleBoneとはTexas Instruments(TI)の開発・販売している小型マイコンボードのシリーズです。初期BeagleBoneが発売された当時、パワフルなARMコアのSoC・ハッカー特性・低価格で大きな話題となりましたが、さらに安価な同種のRaspberry Pi の登場によってBeagleBoneの存在は薄れていきました。
しかし、BeagleBoneの最新作である「BeagleBone Black(以下BBB)」は価格を可能な限りRaspberry Pi(以下RPI)に近づけ、なおかつ性能もRaspberry Piよりも優れたものとなっています。
初期のものと比べると、値段が$45と約半額までコストダウン、CPUが500Hz-750Hz駆動だったものが1GHz駆動に、メモリが256MBから512MB、2GBのeMMC FLASHのSDカードがなくてもLinuxが動作するようになり、MicroHDMIポートが搭載され、単体でGUI環境が利用できるようになった点など、大幅にグレードアップしています。
以下仕様書
CPU | Sitara AM3359AZCZ100, 1GHz, 2000 MIPS(?Cortex-A8) |
GPU | SGX530 3d, 20M Polygons/S |
メモリ | 512MB DDR3L 400MHz |
オンボードフラッシュメモリ | 2GB, 8-bit 埋め込み型MMC ※ボード上についている交換不可能なUSBメモリ(2GB)という感じ |
PMIC | TPS65217C PMIC regulator and one additional LDO |
デバッグサポート | Optional onboard 20-pin CTI JTAG, Serial Header |
電源 | ミニUSBまたはDCジャック; 5VDC External via Expansion Header |
PCB | 3.4” x 2.1”; 6 Layers |
インジケータ | 1-Power, 2-Ethernet, 4-User Controlled LEDs |
HS USB 2.0 クライアントポート | 1,USB0としてアクセス, Client mode via miniUSB |
HS USB 2.0 ホストポート | 1,USB1としてアクセス, タイプA, 500mA LS/FS/HS |
シリアルポート | UART0 access via 6 pin 3.3V TTL Header (header is populated) |
LAN端子 | 10/100メガ, RJ45 |
SDカード | microSD, 3.3V |
ユーザー入力 | リセットボタン,起動ボタン,電源ボタン |
映像出力 | 16b HDMI, 1280×1024 (max), 1024×768, 1280×720, 1440×900 w/EDID Support ※ビーグルボーンブラック本体側はmicroHDMI端子 ※最高解像度が1280×1024 |
音声出力 | HDMI上、ステレオ音声 |
拡張コネクタ | Power 5V, 3.3V, VDD_ADC (1.8V); 3.3V I/O on all signals; McASP0, SPI1, I2C, GPIO(65), LCD, GPMC, MMC1, MMC2, 7 AIN (1.8V max), 4 Timers, 3 Serial Ports, CAN0, EHRPWM (0,2), XDMA Interrupt, Power Button, Expansion Board ID (up to 4 can be stacked) |
重さ | 39.68グラム |
消費電力 | 210-460mA@5V(CPU速度に応じて変化します) |
・Raspberry Piとの比較
プロセッサ速度・I/Oの数・内蔵フラッシュ・Ubuntuを含めた多くのLINUXとAndroidの両方をサポートしていることなど、BBBにはRPIより優れている点が多々あります。しかしBBBは残念なことにビデオのエンコード・デコード機能がありません。HDMI解像度は1280×1024に制限されており、コンポジット出力も使用できません。もしも想定しているプロジェクトで高解像度のビデオ出力が必要となる場合はRPIが優れていると言えるでしょう。しかし、ビデオ出力を必要としないのであればBBBに軍配があがります。
元々BBBはハードウェアハッキングを目的としたハードユーザをターゲットにしているので、その点は大きな問題ではないと考えられたのだと思います。BBBでは65ピンのGPIOに加え、Arduinoでいうシールドと同様のケープと呼ばれる拡張ボードがサポートされています。
また、BBBでは解像度12ビットの7つのアナログ入力に対応していますが、RPIにはオンボードADCがありません。
コストに関してはボード自体の値段はBBB$45、RPI$35とRPIの方が安くなりますが、電源やブートストレージなどの周辺機器の値段を加味すると大きな差はでません。
いろいろと比較点をあげていきましたが、結局のところはプロジェクトに合わせて使用するボードを変えるのがベストだと思います。個人用メディアプレー・生徒用の教育教材・メディアアートなど、それほど高度なパフォーマンスを必要としないプロジェクトなどの場合はRaspberry Piを、またセンサや制御モーターを多く使用したいという場合にはBeagle Bone Blackを、それぞれ選択することになると思います。
どんなプロジェクトでもベストな選択となるようなボードは存在しません。それを踏まえた上であなたのニーズに合致するボードを選びましょう。