Forward Design Changesは、関連づけされた回路図とプリント基板のデザインを一致させるために役立つ機能です。Main Menu>Tools>Forward Design Changesから使用することができます。回路図からプリント基板に部分的に設計を移行することで、プリント基板上の設計を更新することができます。すなわち、回路図上で行われた変更を、自動的にプリント基板にも移行することができます。
下の図は、各機能において、回路図とプリント基板の間で行われる操作の流れを表しています。
設計の変更には次のような項目が含まれます。
- 配線名の変更/追加/削除
- 接続/配線の変更/追加/削除
- 配線クラスの変更/追加/削除
- 部品の変更/追加/削除
- 部品の値の変更/追加/削除
- 部品のグループの変更/追加/削除
- パッケージの変更/追加/削除
- ピンの変更/追加/削除*
*パッド端から出ている配線を切断し、挿入されている最後のセグメントのコーナーを使用することで、配線経路をあまり変更せずに、新しいパッドへと再接続します。
Undoは、全ての設計変更要求に対して維持されます(Preferenceにおいて定義されたUndo levelの数に制限されます)。
注意: Forward design changesはECOsとも呼ばれています。ECOsとは、Engineering Change Orders(設計変更要求)の略称で、大規模な企業で、プリント基板設計者に対して設計の変更を知らせるために使われている用語です。DSPCBでは、この機能をForward design changesと呼んでいます。設計の修正においてECOが必要となった場合に使用される機能です。
この機能を使用するためには、初めに設計をプリント基板に移行しておく必要があります。プリント基板内に部品および接続が存在していれば、回路図からさらなる設計の変更を適用することができます。
ダイアログの使い方
Forward Design changesは、回路図・プリント基板エディタのTools、またはProjectに位置しています。プリント基板に変更を加える前に、回路図をあらかじめ保存しておくことを推奨します。
Forward Design Changesを適用する前に、回路図へのバックアノテーションが行われていないような名前の変更がプリント基板上で行われていた場合、エラーメッセージが表示されます。OKを選択して、Forward Design Changesを使う前にバックアノテーション(Back Annotate)を適用してください。
Forward Design Changesが選択された場合は、次のようなダイアログが表示されます。
Allow components to have different packages: このチェックボックスを選択しておくと、回路図が変更された場合でも同一の部品パッケージが適用されます。
OKを選択すると、自動的に回路図の変更が基板レイアウトに反映され、変更点やエラーについてのレポートが生成されます。この時、Undo機能で元のデザインに戻すこともできます。
例: 回路図への部品の追加とプリント基板の更新
これは、Forward Design Changes機能を使うことで行えます:
- まず、Schematic/PCB Checkerを利用して、回路図とプリント基板の両方で同じ接続が行われていることを確認します。
- 回路図に部品を追加し、設計を保存します。これらの変更は、プロジェクト内の一枚のシートもしくは複数のシートに反映させることができます。
- ToolsからForward Design Changesを選択し、表示されたダイアログのOKをクリックします。対応する名前のプリント基板に部品が自動的に追加されます。
- 再びSchematic/PCB Checkerを起動し、設計が一致していることを確認します。これを行うことで、システムの整合性を保つことができます。
- プリント基板を保存します。
- 新しい名前でファイルを保存することで、古い設計ファイルを残すような運用が可能です。
変更した回路図ファイルがプロジェクトに登録されていない場合、同じディレクトリ内の、拡張子以前が同じ名前のファイルどうし、回路図・プリント基板の関連付けが行われます。例えば、同じディレクトリにある「デジタル.pcb」と「デジタル.sch」というファイルは、バックアノテーション機能(またはその他の関連付けプロセス)を使う際に関連付けられます。しかし、ファイル名が「デジタル基板.pcb」と「デジタル回路.sch」だった場合、二つのファイルを互いに関連付けることができません。この場合、二つのファイル名を「デジタル.pcb」と「デジタル.sch」に変更することによって、関連付けできます。
プロジェクトに含まれている場合は、異なる名前であっても回路図とプリント基板を関連付けることができます。