こちら(英文)の記事の翻訳になります。
Parallellaは、米国Adapteva社が提供するオープンな高速並列処理コンピュータボードです。制御用IC(デュアルコアARMとFPGAのワンチップ)と、演算用アクセラレーター(16コア、または64コア)を搭載した名刺サイズの基板型製品です。Parallellaボードには3タイプの製品があり、アプリケーションや用途によって使い分けができるのですが、それら3製品の違いを述べる前にまずParallellaの基本的な性能をご紹介します。
Parallel(la) の利点
Parallellaは1GB RAMのARM A9デュアルコアプロセッサを搭載しています。公式なOSはUbuntuをサポートしています。他のマイコンボードとの最大の違いは"Epiphany(エピファニー)"と呼ばれる16コアのアクセラレーターを持っている点です。このアクセラレータは非常に消費電力に優れており、64コア版のEpiphanyは50 GFLOPS/W(1ワットあたり50 GFLOPSの性能)(単精度)で、極めて高い電力効率を達成しています。消費電力はモバイル並なのに演算能力はハイエンドPC並です。インターフェース面ではUART・イーサネット・HDMI・MicroSDストレージを持っています。加えて非常に多くの高速GPIOを備えています。
要するに小型・低消費電力でありながら非常に高い計算能力とI/Oパフォーマンスを持っているということです。
Desktop版 Parallella
Prallella-16デスクトップヴァリアントはHDMIディスプレイとUSBキーボード・マウスを同時に使用することができ、スタンドアローンコンピューターとして動作します。ストレージとしてマイクロSDカードを使用し、ネットワークドライブやUSBドライブも使用することができます。Parallellaをディスプレイ用の組み込みアプリケーションシステムとして運用することで、開発・教育にかかるコストを低減することができます。
Embedded版 Parallella
一見デスクトップタイプと同じシステムに見えるかもしれません。しかし、SoCが、Zynq 7010 から Zynq 7020に変更されています。FPGAとしての違いは以下の通りです。
ロジックセル: 28K → 85K
- ブロックラム: 240KB → 560KB
DSPシリーズ: 80 → 220
GPIOピン: 24 → 48
この仕様であれば複雑な変調と高い能力を両立し、より大きなFPGA設計に対応することができます。
Micro-Server
デスクトップタイプと同様にZynq 7010を搭載しています。しかしよく見ているといくつかの部品の配置が変更されていることがわかるはずです。このタイプはネットワーク越しにアクセスされることを前提として作られているため、HDMI端子やUSB端子は除かれています。USBとHDMI持っていないだけではなく、このボードは下側には高速基盤用拡張コネクタを持っていません。マイクロサーバは、コスト低減、消費電力、熱、体重を維持したい大規模イーサネット接続クラスタでの使用に特化しているといえるでしょう。。
上記の表は3つのタイプの仕様を並べたものです。
Raspberry PiとBeagleBoneとの比較
シングルコアARMを搭載したRaspberry Piと比較した場合、モデルB+で増設されたGPIOよりも、Prallella Embeddedボードの方がGPIOの数が多いです。加えて、ParallellaのGPIOは高速で実行させることができ、FPGA接続用のカスタムインターフェスを持っています。またRaspberry PiはRAM容量が少なく、100Mイーサネットしかない上、当然マルチコアアクセラレーターは持っていません。ただRaspberry PiはGPUの恩恵があり、安価であるため、初心者のための学習ツールとしては唯一無二のものです。その結果、周辺機器やアドオンが豊富に存在しています。さらに、非常に大規模で活気のあるコミュニティがあることは言うまでもありません。
一方BeagleBoneBlack(BBB)はRaspberry PiのCPUを増やし、GPUを減らしたようなものです。GPIO数も少なく、拡張性という点では劣っているといえるでしょう。
Summaryまとめ
Parallellaボードは非常に高速高性能なスパコンボードであり、それはつまり処理能力に余裕があるということです。もしあなたのプロジェクトが計算処理が必要なものであった場合、このParallellaボードを手に取ってみることをおすすめします。上記で他のボードとの比較を行いましたが、結局のところ、優れているかどうかはユーザーの使用用途に大きく依存します。下手に食い合いをするのではく、他のボードと共存を図り、相互に学習していけることを切に願っています。
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