こちらの英語版記事を元に作成したものです。
新製品 Raspberry Pi コンピュートモジュールとIOボードをレビュー!
Raspberry Pi財団は、Rasberry Piファミリに、ビジネスや産業ユーザを対象とした「コンピュートモジュール」という新たなラインアップが加わることを発表しました。このボードは、はじめから大規模な設計に組み込むことを想定して設計されたので、SO-DIMMのボードに非常にコンパクトにまとまっています。
コンピュートモジュールでは、コネクタの類を省き、モジュールが組み込まれるであろうメインボードの設計者にその仕様を委ねています。さらにEthernetコントローラも、すべてのアプリケーションで必要となるわけではないので用意されていません。しかし、Broadcom社のSoCを除くと、ひとつだけ組み込んだものがあります。それが4GBのフラッシュストレージです。なんといっても、ブートできなければ使えませんから。
SO-DIMMコネクタは、製造用に使うのには良いですが、プロトタイピングには決して使いやすいものとは言えませんので、いくつかのコネクタと0.1インチピッチのピンヘッダを備えたIOボードがモジュールと合わせて投入されます。
セットアップ
IOボードには、入力デバイスとディスプレイを接続できるようにするため、HDMIとUSBのホスト端子があります。しかし、私はコンソールとして信用できるシリアル接続を利用したいので、ComputeモジュールをまずIOボードのSO-DIMMソケットに取り付けて、USB-UART変換アダプタを接続しました。
そして、Power Inと書かれたマイクロUSBコネクタから電源を供給します。
リソース
Computeモジュールは、Raspberry Pi モデルA、Bとほとんど同じようにブートしますが、ブートデバイスがSDカードからオンボードのフラッシュストレージとなった点が異なります。
いくつかのコマンドでログイン、実行をすると、ルートファイルシステムに3.5GBあり、ネットワークインターフェースはループバックだけであることが確認できます。USB-Ethernetアダプタを接続すれば、新たなネットワークインタフェースとして確認できるはずです。
しかし、Ethernetアダプタに電源が入り、Linuxに認識されたのですが、カーネルかローダブルモジュールがアダプタをサポートしていませんでした。ペリフェラルのサポートを追加するには、あたらしいカーネルかモジュールをオンボードフラッシュにコピーしなければいけないようでした。
Hello World
先述したように、IOボードにはたくさん0.1インチピッチのピンヘッダがあります。これらのGPIOピンは、LEDに接続して、それをbashプロンプトから意図したとおりトグル動作することを確認しました。ピンに出力するには、方向をoutputに設定し、値を1にセットすることでLEDを点灯できます。
豊富なIOピンによるプロトタイピング
IOボードでは、Raspberry Pi モデルA、Bを超える46本というたくさんのGPIOにアクセスすることができます。さらに、ピンヘッダから、1.8V、3.3V、5V、GNDの電源が供給されています。長い2列のピンヘッダの上にあるジャンパを切り替えることで、0-27ピン、28-45ピンのロジックレベルをそれぞれ、1.8Vか3.3Vにすることができます。
面白いことにJ15のマイクロUSBコネクタにUSB BOOTと記されています。回路図にあったメモによると、これはUSBで接続されたホストからモジュールをブートするために使われ、一度ブートされるとオンボードフラッシュに対してブートアクセスが提供されます。多分、OSとアプリケーションをそのようにロードできるということでしょう。
ボードはさらにCSI、DSIポートをシリアル通信カメラとディスプレイのために用意しています。それぞれポート数が2つになっています。
これらのポートに使われているコネクタは、モデルA、Bに使われてたものに比べ、密度がさらに高くなっているため、少なくとも新しいフレキシブルケーブルが必要になります。私が思うに、今のRaspberry Piカメラも新しいケーブルを通してサポートされるのではないでしょうか。現状、まだわかりませんが。
まとめ
現在存在する産業利用に向けの組み込みソリューションに不足はありませんが、そのうちのいくつが、(100個注文時)たった30ドル程度の価格で、紹介したようなIOをもったちょうどよいLinuxシステムで、このような活気溢れるエコシステムをもっているでしょうか?これはまた、すでにそのようなアプリケーションでRaspberry Piを利用しようと検討している人々の願いに答えを与えてくれるものです。
戦略的に、これはRaspberry Pi財団にとって興味深い動きであり、財団がさらにコンピュータサイエンスの研究を促進させることを、言うまでもなく新しい収入源は可能にしますが、教育と産業という2つの方向性の機会を、産業における採用がどのようにリードしていくのかうかがい知ることができるでしょう。
ComputeモジュールとIOボードはビジネスや産業ユーザを対象にしていると考えられますが、Makerコミュニティが素晴らしいプロジェクトの数々にこのボードを使わないとは思えません。あわせて、最大限にIOを利用できるこのボードは、たくさんのIOを利用した人々にとって、あらたな選択肢として考えられるようになっていくでしょう。そして、同時に、私はいくつかのサードパーティからエキサイティングな(場合によっては複数の)Raspbery Pi Computeモジュールを搭載し、多様なペリフェラルと統合したメインボードが登場することを期待しています。